老人ホーム経営の種類、開設費用、リスク対策などポイントを解説
2021.11.22
現在日本では、超高齢化社会の中で老人ホームの数が年々増えています。
そんな中、「社会貢献のため、土地活用のために老人ホームを経営したい」と考える人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、老人ホームの種類、業界の現状、老人ホーム経営のメリット・デメリットなどの基礎知識を解説します。
さらに初期費用や開設までの流れなど、具体的な情報も合わせてお伝えしますので、ぜひ参考にご覧ください。
民間が建設可能な老人ホームの種類
老人ホームには、公的なものから民間のものまでさまざまな種類が存在しています。
大きく分けると、老人ホームには「特別養護老人ホーム」と「有料老人ホーム」の2つがあります。
特別養護老人ホームは公的施設、有料老人ホームは民間施設であるため、民間人が経営できるのは「有料老人ホーム」のみとなります。
有料老人ホームの種類は、大きく3つあります。
・住居型有料老人ホーム: 食事・掃除などの生活支援サービスや見守りのサービスが受けられる。
・介護付有料老人ホーム: 生活支援や入浴・排せつなどの介助サービスが受けられる。
・健康型有料老人ホーム: 家事や食事のサポート、日常生活を楽しむための設備がある。
さらに、上記3種類の他に「サービス付き高齢者住宅」という賃貸住宅があり、こちらも民間人が経営することができます。「サ高住」などと呼ばれることもあります。
・サービス付き高齢者住宅:安否確認や生活支援サービスを受けられるバリアフリー対応の賃貸住宅。
ここで、「有料老人ホームとサ高住、どちらを経営すべきか分からない」という方も多いかもしれません。
できる限り費用を抑えたいという場合は「サ高住」をおすすめします。理由は「サ高住」の場合、補助金や固定資産税の優遇があるなど、経済面でのメリットが多いためです。
反対に、より高収入を得たい場合は「有料老人ホーム」がおすすめです。基本的には家賃収入のみが収益となるサ高住に対して、有料老人ホームには「一時入居金」という収入があります。一時入居金は、0円〜数百万円の金額設定で、入居してもらう度に収入が得られる仕組みになっています。
老人ホーム経営の現状
高齢者の人口増加により需要が高まっている老人ホーム施設ですが、介護業界の現状についてもう少し詳しく知っておきましょう。
超高齢化社会へ突入したことにより、特別養護老人ホーム以外にも「有料老人ホーム」「サ高住」の数は年々増加しています。しかし需要が高まる一方で、人材の確保が難しいことから入居者の受け入れができずに、空床が出てしまっている施設もあります。介護施設を運営するにあたっては、人材確保ができるかが大切なポイントとなります。
また需要が高い業界ではあるものの、利用者を集めるためには各地域の利用者のニーズをきちんと把握しておく必要があります。現在、すでに数多くの介護施設が建てられていることから、その地域での競合施設を見て、どのようなタイプの老人ホームに需要があるのかなどを事前にリサーチしておくことも大切です。
老人ホーム経営のメリット・デメリット
メリット:成長業界で高い収益が期待できる
老人ホーム経営のメリットはすでにお話している通り、現代において非常に需要の高い業界であることです。その他のメリットとして、他の土地活用方法よりも高い収益が見込めることも挙げられます。
マンションやアパート経営の場合は、部屋数に限りがあるため収益にも上限があります。一方で老人ホーム経営の場合は、利用者が多いほど収益も増えていきます。面積に対して適正な利用人数が設定されているため、土地が広い場所ほどより多くの収益を生むことができるでしょう。
デメリット:初期費用が高く転用性が低い
老人ホーム経営は、ある程度の規模の施設を建てることになるため、初期費用はどうしても高くなります。そのため、資金に余裕がないという人には挑戦しにくい土地活用方法となります。
さらに老人ホームを一度建ててしまうと建物の構造や設備などの理由で、土地が不要になったときに売りにくくなってしまう傾向にあります。また万が一、老人ホーム経営が上手くいかなかった場合にも、他の目的でそのまま建物を使うのは難しいというデメリットがあります。
老人ホーム経営のリスクと対策
老人ホーム経営において、知っておきたいリスクとその対策について4つご紹介します。
・思ったように利益が出ない
老人ホームの収入源は「入居者からの賃料/サービス利用料」「国民健康保険連合会からの介護報酬」「入居一時金」の3つから成り立っています。しかし、実際には介護報酬だけで支出の大部分を占める「人件費」が賄えないこともあり、予想していたよりも利益が出ないというリスクもあります。
さらに最近では「入居一時金を0円」とする施設も増えてきており、入居一時金で多くの収益を得ようとすると入居者が集まらなくなるという恐れもあります。そのため、事前に収支のバランスをしっかりとシミュレーションしておくことが大切です。
・入居者の介護レベルが上がる
介護レベルによって入居者一人に対する介護負担は変わってくる、ということも頭に入れておく必要があります。入居後に介護レベルが上がることで、介護負担が増え人員も増やさなければならない可能性も十分あるのです。
そのため、人員を増やした場合にもきちんと利益が出るのかを、さまざまなシミュレーションをしながら対策しておくことがポイントです。
・空床リスクがある
立地や入居一時金の金額設定によっては、思うように利用者が集まらずに空床が出てしまうリスクもあります。高齢者が増えて需要が高まっている一方で、国としては「施設から在宅へ」という方針を定時しているため、自宅で頑張りたいという高齢者が増えている傾向もあります。
入居者を確保するためには説明会を開催したり広告を打ち出したりなど、集客に力を入れることも非常に大切なステップとなります。また、空床が出てしまった場合でも運営が上手く回るように対策をしておくことも必要です。
・「介護報酬」は国によって決められる
介護サービスを提供することで支給される介護報酬ですが、この額は国の法律によって決められているため、老人ホーム経営者が決めることができません。また、国の方針によって介護報酬額が変更される可能性もあります。
もちろんサービス利用料や管理費用などは経営者が自由に設定できますが、介護報酬に関しては自分の意志や経営状況とは関係なく、国によって決められるということを覚えておきましょう。
老人ホーム開設にかかる初期費用
老人ホームを開設する場合、広い土地に指定された設備が備わっている施設を建設する必要があるため、アパートやマンションを建てるよりも高額な初期費用がかかります。
おおよその目安としては、1~3億円と考えておきましょう。もちろん土地の広さや施設の規模によって異なりますので、一概には言えません。
さらに、最も高額となる土地の購入費用も含まれていますので、すでに土地を所有している場合はより安い費用で始められるでしょう。
全てを自己資金から賄うのではなく、融資や補助金を利用するのが一般的であるため、初期費用については事前に銀行へ相談に行ったり補助金制度について詳しく調べておく必要もあります。
〈初期費用の内訳〉
・土地購入費
・建設費
・設備・備品
・広告費
・求人費
・会社設立費
老人ホーム開設までの流れ
老人ホームを開設したい場合、何から始めたらいいか分からない人も多いのではないでしょうか。
最後に開設までの大まかな流れを、以下にて簡単にご紹介します。
① 老人ホームの設立プランを立てる
② 市区町村や都道府県の担当課へ事前相談に行く
③ 都道府県の指針に基づき審査を受ける
④ 審査に合格後、法人を設立する
⑤ 備品の調達や人員の雇用の準備を始める
⑥ 行政との事前協議を行い、設置届を提出
⑦ 正式に受理されたら建設工事を始める
まとめ
いかがでしたか?今回は老人ホーム経営を目指している方に向けて、老人ホームの種類やメリット・デメリットなどの基本知識についてご紹介しました。成長業界である一方で初期投資が高くリスクもあるため、実際に始めるにあたっては介護施設や経営の知識をきちんと身につけておくことも大切です。
MAI埼玉支店(旧 田村工務店)は、埼玉県川口市エリアを中心に建設工事・土木工事業や公共事業等を営んでおります。創業50年以上の中で1,000件を超える施工実績と信頼を積み重ね、川口市からは「優秀建設工事施工業者」を11年連続で表彰していただいております。
弊社では福祉施設を始め、マンション・アパートや戸建住宅など幅広い建築物の施工を承っております。お客様のご希望に合わせて最適な提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
施工事例は、こちらよりご覧いただけます。