マンション大規模修繕の周期目安|適切な時期に行うためのポイント
2021.08.10
定期的にやってくるマンションの大規模修繕。特に初めての場合、「一般的な周期はどれくらいなのか」「適切な時期に行うためにはどうすべきなのか」悩む方も多いのではないでしょうか?
そんなお悩みを解決すべく、今回はマンションの大規模改善について周期の目安や修繕実施の判断基準などをわかりやすく解説します。
大規模修繕の周期目安
12~16年周期が一般的
マンションの大規模修繕は、一般的に12〜16年周期で行われます。
実は、大規模修繕の周期は「◯年までに行わなければならない」などと公的に決められているわけではありません。
大規模修繕の目的は、人々が安全に暮らすために建物・設備の劣化を修繕することです。
こうした修繕が必要になるほどの経年劣化が起こる時期が、12〜16年のタイミングで訪れる場合が多いのです。
「12年周期が当たり前」と言われる理由
修繕周期の目安を調べると、「12年周期が当たり前と聞いた」という方も多いのではないでしょうか。
周期は法律などで定められているわけではないにも関わらず、なぜこのような声をよく聞くのか疑問に感じる方もいるかと思います。
その理由は、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」が影響しているからです。
以下ガイドライン「第3章 長期修繕計画の作成の方法」の「4 長期修繕計画の考え方」の中で、「大規模修繕工事の周期が12年程度」という記述があります。
この記述がもとになり、「12年周期が当たり前」という認識が広がったのが理由のひとつです。
5 計画期間の設定
計画期間は、新築マンションの場合は、30年以上とし、既存マンションの場合は、
25年以上とします。
〈コメント〉
◆計画修繕工事の実施時において修繕積立金が不足することがないように、多額の推定修
繕工事費が見込まれる年度を含むように計画期間を設定する必要があります。
したがって、新築時は、経年が30年程度において実施が見込まれる昇降機設備、給水設
備、排水設備の取替えなどを含めた期間以上とします。また、外壁の塗装や屋上防水など
を行う大規模修繕工事の周期が12年程度ですので、見直し時には、これが2回含まれる期
間以上とします。
参照:国土交通署「長期修繕計画作成ガイドライン」
このほかにも「築10年以上のマンションは築13年までに『全面打診調査』の実施が必須」であること、「建物の部材劣化に対する保証期間が10年前後であることが多い」ことも、12年周期で大規模修繕を行うのが適切なタイミングといわれる理由となっています。
近年では18年周期で行う場合も
近年では、「大規模修繕工事を18年周期まで延長する」といった周期の延長をはかる大手マンション管理会社もみられます。
より耐久力の高いマンションを建てて周期を延長することで、大規模修繕の工事回数を減らし経済的負担の軽減につながるのがメリットです。
12〜16年周期が多いとされるものの、建築技術の発展や時代の変化にともなって今後は修繕周期が徐々に延長されていくかもしれません。
大規模修繕実施の判断基準
長期修繕計画を目安に
周期の目安がわかったら次に問題になるのは、具体的にどのタイミングで修繕実施を判断すべきかということです。
まず大前提として、「長期修繕計画」で立てていた修繕周期の設定を基準に考えましょう。
さらに、推定修繕工事費や収支計画など費用の面でも、事前に「長期修繕計画」で立てていた内容を把握しておきます。
劣化状況の調査・診断で判断
「長期修繕計画」の内容を再確認したら、現状の把握をするために建物・設備の劣化状況の調査診断をしましょう。
もともと推定していた計画内容から、実際に現状の劣化状況はどうなっているのかを把握します。
「予想していたとおり修繕工事が必要な状態になっているのか」「まだ修繕するには早い劣化状況なのか」を知った上で、最終的に修繕を実施すべきなのか判断をしましょう。
大規模修繕の実施時期|気をつけるポイント
大規模修繕の実施時期を決める際に、気をつけておきたいポイントが3つあります。
実施時期が早すぎるとどうなる?
建物の劣化状況に対して大規模修繕の実施時期が早すぎた場合、修繕時には問題なかった箇所が数年後に劣化し追加工事が必要になるというリスクがあります。
あと数年待っていれば一度で済ませられた工事が、2回3回と必要になりトータルでの工事費用が非常に高くなってしまいます。
「12年周期が当たり前」というイメージや、もともとの「長期修繕計画」にこだわりすぎずに、建物・設備の診断・調査から必要がある、必要のない箇所を冷静に見極めることも大切です。
実施時期が遅すぎるとどうなる?
逆に実施時期が遅すぎた場合、雨漏りや錆び、ひび割れなどの劣化が激しく、そもそも工事内容に含まれるはずのなかった追加修繕が必要になるということが起こります。
そうなると工事費用が高くなり、推定工事費をオーバーして資金が足りなくなるというリスクもあります。
劣化のスピードはすべての建物において一定ではなく、周囲の環境や気候によっても異なります。
実施時期が遅すぎることのないように、定期的に劣化状況を調査・診断してもらいましょう。
適切な時期に行うメリット
早すぎず遅すぎず、適切な時期に工事を実施すると多くのメリットがあります。
まずは、「無駄な工事費用がかからない」ことが大きなメリットです。
修繕積立金で賄えない工事費用がかかってしまった場合、住民とトラブルになってしまう可能性もあります。
必要最低限の工事費用をかけることで、金銭的負担を抑えるだけではなく、住民からの理解も得られやすくなるでしょう。
もう一つは「マンションの劣化スピードが抑えられる」というメリットです。
適切な時期に修繕を行うことによって、劣化スピードを抑制することができます。
建物が年々劣化していくことは仕方がないことですが、ひび割れや汚れをそのままにしておくと劣化スピードはさらに早まります。
劣化スピードを抑えることで、次回の大規模修繕の時期を遅らせたり修繕箇所が少なくなったり、後の工事費用も最小限にできます。
さらにマンションの劣化スピードを抑えることは、マンションの資産価値を維持・向上することにもつながります。
資産価値のある安全で快適な環境が保たれたマンションへは、入居希望者も増えることでしょう。
このように、適切な時期に大規模修繕を行うことはさまざまなメリットがあるのです。
適切な時期を判断するためには建物の調査・診断を定期的に行い、各箇所がどの程度劣化しているかを正確に把握することが大切になります。
大規模修繕にかかる期間
建物の調査・診断を経て実際に大規模修繕実施が決まったあと、工事自体にはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
マンションの大規模修繕では多くの場合、工事自体には半年〜2、3年かかります。
正確な期間はマンションの規模や修繕箇所・内容によって変わります。
さらに、大規模修繕実施を決めてから実際に工事が始まるまでに、施工会社の選定、修繕箇所・内容、費用の見積もりなど、やるべきことは非常に多くあります。
工事実施までのプロセスの中で、トラブルや思い通りに進まないこともあるため、早めに修繕までの計画を進めていくことをおすすめします。
マンション大規模修繕にかかる期間・流れ・費用については、こちらの記事で詳しく解説しています↓
https://mai-meldia.com/cate8/2277/
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んで、マンションの大規模修繕における周期の目安、修繕実施の判断基準、気をつけるポイントが理解できたと思います。
マンションの大規模修繕は、頻繁に行うものではなく膨大な費用もかかるため、慎重に計画・実施していくことが大切です。
また自分たちで計画を立てるだけではなく、どの業者に依頼するかも重要となるポイントです。
MAI埼玉支店(旧 田村工務店)は、50年以上にわたり地元地域との縁を大切にしながら建設工事・土木工事業や公共事業等を営んできました。1,000件を超える施工実績があり、11年連続で埼玉県川口市から「優秀建設工事施工業者」として表彰を頂いている信頼と実績のある工務店です。
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