マンションの大規模修繕|期間や費用について解説
2021.07.31
マンションを所有している以上、必ずやってくる『大規模修繕』のタイミング。費用も期間も掛かるため気が重くなるものですが、住民の安心安全な暮らしやマンションの資産価値を維持するためにも取り掛かる必要があります。
今回は、設備が劣化した部分の修理や取替えを行い、劣化したマンションの機能や性能を回復させるために欠かせないマンションの大規模修繕について、かかる期間や費用、円滑に進めるためのポイントをまとめました。
マンションの大規模修繕はなぜ必要?
年月が経てば、綺麗だったマンションも段々と劣化・損傷してしまうもの。劣化したマンションを放置してしまうと見た目が悪くなるだけでなく、安全性が損なわれ住む人の暮らしを守ることができなくなり、さらに劣化し剥がれた壁の落下などで道ゆく人に危害を加えてしまう可能性もあります。
マンションの修繕では、設備が劣化した部分の修理や取替えを行い、劣化したマンションの機能や性能を回復させていきます。その中でも大規模修繕は、工事内容が大規模、工事費が高額、工事期間が長期間にわたる鉄部塗装工事や外壁補修工事、屋上防水工事などが主に行われています。
大規模修繕工事を行うことで、マンションの劣化速度をある程度落とすことができる上、資産価値を維持することもできます。安心安全のためにも、価値あるマンションを所有し続けるためにも、大規模修繕は必要なのです。
マンションの大規模修繕にかかる期間と流れ
マンションの大規模修繕工事は、1回目が築13〜16年前後、2回目が築26〜33年前後、3回目以上は築37〜45年前後 の時期で実施されています。
大規模修繕にかかる期間
マンションの規模にもよりますが、大規模修繕の工事自体にかかる期間は半年〜2、3年です。しかし規模の大きいマンションの修繕となると、検討する内容や修繕箇所も多くなるため、修繕を進めていく上で必要な施工会社の選定や見積もりの精査、マンションの理事会での決議なども含めると、さらに数年かかることもあります。なかなかスムーズに進まないこともあるため、大規模修繕を視野に入れている方は早めに準備に取り掛かるようにしましょう。
大規模修繕の流れ
施工会社に依頼して大規模修繕を進めていく場合、次のような流れで計画を進めていきます。
① マンションの調査と診断
施工会社にマンションの調査をしてもらいます。
② 修繕計画の作成
調査結果に合わせて修繕計画を作成します。
推奨される工事内容や費用などはこの段階で提示されます。
③ 資金計画の見直しと決定
作成された修繕計画における工事費用の確認をします。
マンションの理事会で検討し、必要であれば見直しをします。
④ マンション総会の開催と工事の承認
大規模修繕の工事内容、スケジュール、費用に関する報告をマンション総会で行います。
⑤ 大規模修繕契約の締結
総会での承認を得られたら、大規模修繕契約を締結します。
⑥ 大規模修繕の実施、完了
計画をもとに大規模修繕工事を行います。
マンションの大規模修繕にかかる費用
国土交通省が平成29年5月~7月にかけて実施した『マンション大規模修繕工事に関する実態調査 』によると、大規模修繕工事にかかる平均費用と割合は戸あたり
・75万円〜100万円 30.6%
・100万円〜125万円 24.7%
・50 万円〜75万円 13.8%
となっています。
国土交通省:マンション大規模修繕工事に関する実態調査
https://www.mlit.go.jp/common/001234283.pdf
大規模修繕は主に外壁塗装の塗り替えやシーリング剤の充填、屋上の防水工事、サビやすい鉄部分の塗装などを行うため、どのような修繕をどの規模で行うかによって費用は変わりますが、20戸のマンションで2,000万円、100戸のマンションで1億円を目安にしておくと良いでしょう。
修繕積立金を活用する
マンションの大規模修繕費用には、毎月住人から徴収している『修繕積立金』を充てます。大規模修繕を行う約97%は修繕積立金から調達されていますが、一時徴収金や借入金でまかなわれているケースもあります。
大規模修繕にかかる費用は高額なので、マンションの修繕が必要な状況であっても修繕に至らないケースが問題になることがあります。そのような状況を避けるためにも、大規模修繕を見越した上で積立金を設定し、準備しておくようにしましょう。
築年数に合わせた金額設定を
マンションの築年数や状態に合わせた修繕ができるよう、修繕積立金は都度再検討することが大切です。築10〜15年ほどの段階ではそれほどかからなかった修繕費用も、築年数が経ち劣化が進むと修繕箇所も増え費用が高くなります。また、施工期間が長い大規模修繕は人件費や建築資材の物価などの影響を大きく受けるため、経済状況によっても費用が変わります。
このように、費用が大きく変わることを住民にしっかり説明した上で金額を設定し、必要な資金を積み立てておきましょう。
マンションの大規模修繕を円滑に進めるポイント
多くの人が携わり、多額の費用がかかるマンションの大規模修繕。スムーズに計画を進めていくためにも、事前に起こりやすいトラブルを把握しておきましょう。
住民とのやりとり
大規模修繕をする場合、住民の理解を得ながら修繕計画をたてて実施していく必要があります。修繕工事をすることで、少なからず住民の毎日の暮らしに影響を与えます。そのストレスを最小限におさえ、不要なトラブルに発展しないためにも、住民への配慮も欠かさず計画を進めていきましょう。
事前の周知を徹底しておく
いつから修繕が始まるのか、工事期間中に気をつけて欲しいことはなんなのか、など住民への情報共有を徹底しておきましょう。『工事が始まることを知らなかった…』という声はトラブルに繋がりやすくなります。
また、玄関の前やベランダに私物が置きっぱなしになっていると、工事を進めることができません。工事内容を周知した上で、どのように協力して欲しいのかを伝えておくようにしましょう。
対策を共有しておく
マンションの修繕工事が始まると、ホコリが舞い騒音に悩まされる毎日が続きます。洗濯物が干せない、うるさい、などの苦情が出てくるでしょう。また、作業員に室内を覗かれる、プライバシーが守られない、などの声も挙がるかもしれません。
工事期間が半年以上続くとなると、住民のストレスも溜まってしまいます。これらのトラブルを避けるためにも、工事をする時間帯や期間はしっかりと伝えた上で、対策も共有しておきましょう。この時間帯であれば外に洗濯物を干すことができる、プライバシーを守るためにカーテンを閉める、など不満に対する対策を共有しておくことで、住民のストレスをある程度緩和することができます。
業者とのやりとり
修繕を依頼した業者とのトラブルも、できれば避けたいもの。後で揉めないように、しっかりと意思疎通をはかっておくことが大切です。
施工内容や工期の確認をしておく
言った言わない、が大きなトラブルに繋がります。多くの人が携わる以上、工事内容はすり合わせた上で紙面に残しておくようにしましょう。工事内容に関する意思疎通ができていなかった場合、工期が伸びたり追加費用がかかったりすることもあります。
大規模修繕を行う場合、主にマンションの管理組合が対応します。主体的にスムーズに取り組めるよう、必要あればサポートしていきましょう。
もし、計画を進めていく上で何か問題が起こった時は、国に指定を受けた管理組合や管理関係者を支援する『公益財団法人マンション管理センター』にサポートしてもらうこともできます。修繕計画の見直しや修繕費の確認など必要なときは、頼ってみるのもおすすめです。
公益財団法人マンション管理センター
https://www.mankan.or.jp/07_skillsupport/skillsupport.html
マンション大規模修繕を依頼するなら…
マンションの大規模修繕を進める場合、費用面や施工スキルなどトータルで考慮した上で業者の選定をしていくことが大切です。準備期間、工事期間合わせてかなり時間がかかる以上、円滑に計画を進めていくためにも入念に準備を進めていきましょう。
しっかりと計画を立てた上で、信頼できる業者とともにマンションの大規模修繕を進めていきましょう。
MAI埼玉支店(旧 田村工務店)は、50年以上の長年に渡り、建設工事・土木工事業や公共事業等に携わり、11年連続で川口市から「優秀建設工事施工業者」として表彰を頂いている地元密着型の工務店です。
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